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DATA:'10年10月14日(木)15:30〜18:00 /中央大学 Cスクエア 小ホール/アイセック中央大学委員会

■アイセック中央大学委員会とは
中央大学を拠点に、多摩八王子地区にて海外インターンシップを行っている学生団体です。日本人大学生の海外の企業、NGOへの送り出し、海外大生の日本企業での受け入れを実施しています。アイセックという学生が運営する世界規模の非営利組織の会員団体として、世界107の国と地域にわたるグローバルネットワークを活かして、次世代の国際社会を担う学生が自己の可能性を探求し発展させる場を提供し、国際社会を舞台に活躍し得る若者の育成に取り組んでいます。
お問い合わせ●アイセック中央大学委員会副委員長 八尋量平
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記事文責:八尋量平(中央大学商学部2年)








No.05
「壊せ、ジブン ━ 開発という選択肢」

 2010年10月14日(木)中央大学多摩キャンパスCスクエアにおいて会場70人の学生が集まる中、アイセック中央大学委員会主催イベント「壊せ、ジブン━今開発という選択肢」が開催されました。
 本イベントの目的としては、「現場に出ることの重要性」をもっと多くの大学生に感じてもらうことで、インターンシップ報告者として、中央大学法学部2年の小川直子さん、外部講師として、JICA客員専門員 金子節志様によるご講演が行われました。

 第T部では、アイセックの活動説明の他、小川さんによるケニアでのNGOインターンシップについてのプレゼンテーションが行われました。小川さんは、大学2年生の春ケニアのNgongという町の「Living Positive Kenya」というNGOにて約6週間インターンシップを行いました。そのNGOでは、HIV,AIDSの女性の自立支援を行っており、小川さんは、インカムジェネレーションプログラムという部署で、アクセサリーの材料入手・デザイン・販売を行っていました。「売れるデザインを考える志向が現地にはなかった」と小川さん。文化や言語、価値観のまったく違う人たちと一緒に仕事をする経験は、予想以上に大変だったそう。「本当に強くなった。」そう語る彼女の言葉には、現地での苦労が垣間見えました。

 「支援という言葉に疑問を持ちはじめました」開始一ヶ月ほどたった後、小川さんは大きな壁にぶつかったそうです。アクセサリービジネスを現地の女性に教えることではなく、売れるアクセサリーを作る小川さんの仕事は、逆に支援しようとしている女性たちの経済的自立を妨げているのではないかと考えたからです。「自分の行動に意義が持てないときが一番辛かった」と振り返る小川さん。
 「支援のあり方について、まだ明確な答えを得られてはいない」と言う彼女でしたが、一方で途上国の現場に出て、自分自身の目で見て、耳で聞くことで得られる感覚や感情が、考えるきっかけをくれたと言います。「飛び出せ!」会場70人の大学生に対して、こう熱いメッセージを残して壇上を後にしました。

 第U部では、JICA客員専門員 金子節志様による公演が行われました。
 金子様は、37年間JICAに勤務され、7年間緒方貞子理事長と仕事をご一緒された経験をお持ちになられる方です。東南アジアを中心に数々の途上国の現場の話の中で、過酷な現状の数々を目の当たりにしたと言います。「どこに行っても人々の暮らしがある。家族やコミュニティを大切にする姿勢には教わることがたくさんある。」と金子さん。
 外から日本の良さ、悪さがはっきり見えることも現場に出る魅力の一つであると言います。

 その上で、国際協力の基本的な考え方から、世界的な環境問題について、特に水不足への懸念等を学生に語りかけました。

 また、先のインターンシップ報告をうけて現場でしか得られないもの、環境の変化の中で頭の中だけではなく、実際に行って気づくことの重要性をご強調されました。そして、なぜ現場を知る必要があるのか、どうやって気づいていけばいいかについても言及されました。「国際協力に携わる人には、現場の実践経験を通した教訓、暗黙知がある。この実践知は人々とのふれあいの中から得られる宝である。」「また、その受ける側のアンテナは、頭が柔軟な若い人たちにこそ養ってほしい。」学生時代に持った問題意識から、今の職場を選んだ金子様は、会場の学生に対して強くおっしゃっていました。

 終幕では、「日本とケニアをつなぐ アクセサリーデザインコンテスト」が行われました。これは、インターネット上で公募したデザインについて、会場のお客様からの投票によって1位に選ばれたものを、小川さんがインターンシップしていたケニアのNGOに送り、完成品を日本で販売するというものです。中央大学総合政策学部1年生の学生のデザインが見事選ばれました。

 一貫して「現場に出ることの大切さ」を訴えかけた今回のイベントでしたが、「来て良かった。来春の留学に備えて現場を見るヒントをもらった」など会場に来ていた学生にも少なからず勇気を与えたに違いないでしょう。




取材と写真:八尋量平/'10年10月14日■

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