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左槙子にあなた何者? と尋ねたら「人間です」と即答した。創作写真・作画・作陶・作文・花作り……、あらゆる物作りに手足を染めつつ夫を支える良妻として、子づくり、家庭づくりもこなすミラクル主婦。最近はレトルトカレーを1000食も食べたと世間をさわがせているらしい。……左槙子が日々の生活をユーモア溢れるタッチで綴る連載エッセイ。

●左槙子のWEBサイト
エッセイに登場した名誉あるカレー様達
レトルトカレーを極める会
食品庫


左さんのカレーなるいつもの日



第42回カツカレー考
左槙子□□

 夕食の支度をしていたら近所のPTAがあがりこんできて「今日何?」と聞いてきた。見ればわかるだろう事実を懇切丁寧に「とんかつ」と知らせると、「へえ、だれが揚げてるの? 自分で揚げてるの? すごい!」と驚嘆されて返答に困ってしまった。
 夕食にとんかつを揚げることが、同じ専業主婦の立場から羨望のまなざしをもって驚嘆されるほどの行為であるとは、こちらのほうこそ驚きだったので、逆にそれらについて質問してみた。
「夕食のとんかつを自分で揚げないとなると、いったい誰が揚げてくれるの?」
「油も値上がりし、熱いし、めんどうだし、揚げ物は店で買ってくるに決まっている」
 なるほど、買ってくるのか。そう言われてみればそういう手もある。がしかし、自分で揚げれば揚げたてのあつあつが食べられる。そのおいしさと比べれば、衣をつけたり油で揚げたりの面倒さなどどうってことない。と考える私は、近所のPTAからいわせると、
「真夏でも自分でとんかつを揚げたりする変態」
 ということになるらしい。
 しかし、近所のPTAからの評価など、屁の河童なのは言うまでもない。むしろ、違いがはなはだしいほど光栄というものだ。とはいうものの、近くの総菜屋のコロッケやとんかつを買ったこがないわけではない私である。自分で揚げたとんかつと総菜屋のとんかつを比べると、どうしてもかなわない点があるのは否めない。
 それはどこか。あの分厚くしっかりした衣だ。たとえ肉が離れてしまっても、衣だけでカツとして立派に体裁を保っている。たっぷりの玉ねぎ・キノコをカツと煮て、卵でとじたカツ丼の場合、自作のとんかつでは油っぽさ、粉っぽさが足りない。だから総菜屋のとんかつを2枚買ってくる。総菜屋のとんかつは油っぽくて衣が大きいので、煮るとかなりのボリュームが出て、5人家族でも2枚で十分なおかずになる。
 自分で揚げたものの方がおいしいに決まっているカツだけど、レトルトカレーにちょっと添えたりするならば、総菜屋で買ってくるのもその簡単さにおいて優れている。レトルトカレーにも、わざわざ「カツカレー用」と銘打っているものがあったり、とんかつ屋さんが出しているカレーもある。カレー味のソースという感じで、カレーライスとして食べるにはさっぱりしすぎているかもしれないが、カツと合わせるといい感じ。
 カレーに大切なのは調和のココロ。日本のご飯と西洋のカツレツをカレーでつないで、じつにグローバル。我が家って、ほんとに素晴らしい。


写真:大久保謡子
まい泉のカレーソースはカツがなくてもいける味。ハチ食のはカツがないとちょっとさみしい。いずれにしてもカツカレーとはおいしいものだ。



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